すべてが始まる夜に
考えても考えても恋愛経験のない私の頭では答えなんか出るわけもなく、だからと言って部長に「どうしてキスしたんですか?」なんて聞けるわけもない。
それにもうひとつ、キスのこと以上に気になることがある。キスをしたあとの部長はあからさまに私から顔を背けて目を合わそうとしなかった。再び目が合った時もすぐに逸らされてしまった。
部長に嫌われたのだろうか。
後悔をしているような苦しそうな表情を浮かべ私から顔を背けている姿を思い出し、ショックが蘇る。
私、部長に嫌われちゃったのかな……。
今まで部長のことを恋愛感情で見たことは一度もない。
きっとそれはこれからも同じだ。
キスをしたからといって好きになってしまったわけでもないし、付き合いたいとも思わない。部長はあまりにも雲の上の存在すぎて、そんなことを思うことすら烏滸がましいと感じてしまう。
好きか嫌いかと聞かれれば好きだけれど、それはひとりの人間として、上司として尊敬している『好き』であって、恋愛感情の『好き』ではない。
だからあの偶然の出会いによって、上司と部下という関係から少し距離が近づいて、部長と話せるようになったことが嬉しかった。一緒にごはんを食べたりするのが楽しかった。それに今日みたいにひとつひとつ段階を踏みながら分かりやすく丁寧に教えてくれて、改めて部長ってすごいと尊敬してしまったほどだ。
そんな部長に嫌われてしまったかもしれないのだ。
そのことの方が落ち込んでしまう。
それにもうひとつ、キスのこと以上に気になることがある。キスをしたあとの部長はあからさまに私から顔を背けて目を合わそうとしなかった。再び目が合った時もすぐに逸らされてしまった。
部長に嫌われたのだろうか。
後悔をしているような苦しそうな表情を浮かべ私から顔を背けている姿を思い出し、ショックが蘇る。
私、部長に嫌われちゃったのかな……。
今まで部長のことを恋愛感情で見たことは一度もない。
きっとそれはこれからも同じだ。
キスをしたからといって好きになってしまったわけでもないし、付き合いたいとも思わない。部長はあまりにも雲の上の存在すぎて、そんなことを思うことすら烏滸がましいと感じてしまう。
好きか嫌いかと聞かれれば好きだけれど、それはひとりの人間として、上司として尊敬している『好き』であって、恋愛感情の『好き』ではない。
だからあの偶然の出会いによって、上司と部下という関係から少し距離が近づいて、部長と話せるようになったことが嬉しかった。一緒にごはんを食べたりするのが楽しかった。それに今日みたいにひとつひとつ段階を踏みながら分かりやすく丁寧に教えてくれて、改めて部長ってすごいと尊敬してしまったほどだ。
そんな部長に嫌われてしまったかもしれないのだ。
そのことの方が落ち込んでしまう。