すべてが始まる夜に
「うっ、うそ……。これぜんぶ……?」
鎖骨から胸元にはもちろんのこと、下腹部や太腿まで前回とは比べものにならないくらいついている。
しかも、今回は前回ついていなかった首筋にまでしっかりとついているのだ。
こんな身体で下の温泉なんかに行ったら、“昨日の夜はエッチなことをたくさんしました” と公表しているようなものだ。
「これじゃあ大きなお風呂に行けないじゃん……。それに今日の服だと首が見えちゃうし……」
部長はどうしてこんな見えるところにまで赤い痕をつけたんだろう。
隠せるならまだしも、自分がつけたって他の人にバレてしまうのに……。
突然、ガラリとパウダールームのドアが開き、まだ眠そうな顔をした部長が入ってきた。
「茉里、ここにいたのか。起きたらいないからびっくりしたじゃないか。これから下の風呂に行くのか?」
「悠くん、これ……」
浴衣をずらして部長に首元を見せる。
「おお、赤いな」
「ええっ? 赤いなじゃなくて……」
「んっ? 綺麗についてるぞ。もう少し前の方がよかったな」
部長は私の首に指をあてて確認すると、ニコッと微笑んだ。
「ゆっ、悠くん、もしかしてわざとつけたの……?」
「わざとじゃないよ。茉里は俺のものだっていう証をつけたんだよ」
「今日の服だとみんなに見られちゃうし、こんなとこについてたら明日会社にも行けないじゃん」
「別にみんなに見られてもいいし、明日会社に行って聞かれたら、彼氏につけられたって言えばいいだろ? それか俺がつけましたってみんなに言ってもいいぞ?」
冗談とも本気とも取れるようなことを嬉しそうににこにことと微笑みながら言う。
会社なんかでそんなこと言われたら、私は絶対に針のむしろだ。女性社員からの視線は刺されてしまうくらい痛いだろうし、葉子からは執拗な攻撃に合いそうで、考えただけで怖い。
鎖骨から胸元にはもちろんのこと、下腹部や太腿まで前回とは比べものにならないくらいついている。
しかも、今回は前回ついていなかった首筋にまでしっかりとついているのだ。
こんな身体で下の温泉なんかに行ったら、“昨日の夜はエッチなことをたくさんしました” と公表しているようなものだ。
「これじゃあ大きなお風呂に行けないじゃん……。それに今日の服だと首が見えちゃうし……」
部長はどうしてこんな見えるところにまで赤い痕をつけたんだろう。
隠せるならまだしも、自分がつけたって他の人にバレてしまうのに……。
突然、ガラリとパウダールームのドアが開き、まだ眠そうな顔をした部長が入ってきた。
「茉里、ここにいたのか。起きたらいないからびっくりしたじゃないか。これから下の風呂に行くのか?」
「悠くん、これ……」
浴衣をずらして部長に首元を見せる。
「おお、赤いな」
「ええっ? 赤いなじゃなくて……」
「んっ? 綺麗についてるぞ。もう少し前の方がよかったな」
部長は私の首に指をあてて確認すると、ニコッと微笑んだ。
「ゆっ、悠くん、もしかしてわざとつけたの……?」
「わざとじゃないよ。茉里は俺のものだっていう証をつけたんだよ」
「今日の服だとみんなに見られちゃうし、こんなとこについてたら明日会社にも行けないじゃん」
「別にみんなに見られてもいいし、明日会社に行って聞かれたら、彼氏につけられたって言えばいいだろ? それか俺がつけましたってみんなに言ってもいいぞ?」
冗談とも本気とも取れるようなことを嬉しそうににこにことと微笑みながら言う。
会社なんかでそんなこと言われたら、私は絶対に針のむしろだ。女性社員からの視線は刺されてしまうくらい痛いだろうし、葉子からは執拗な攻撃に合いそうで、考えただけで怖い。