すべてが始まる夜に
白石に連れてこられた店は、蕎麦以外にも酒の肴になるような料理がある少し高級な蕎麦屋だった。店の女将に掘りごたつの個室に案内され、部下の女性と2人という妙な緊張感からか口数が多くなってしまう。
「ここにはよく来るのか?」
「たまに。休みの日に美味しいお蕎麦を食べたくなったときに来るんですけど、お昼って定食だけなんですよね。この夜のメニューの出汁巻き玉子がどうしても食べてみたくて。お蕎麦屋さんの出汁巻き玉子って美味しそうじゃないですか。だけど夜にひとりでここにはなかなか来れないし入りづらくて」
俺のことを気遣って食事に誘ってくれたのではないかと勝手に思っていたが、どうやら本当にここの蕎麦屋の出汁巻き玉子が食べたかっただけのようだ。
なぜか少し寂しい気持ちを感じながらも、こうして店に入っても噂好きの女性たちのように麗香のことを一切聞いてこない白石にほっとする俺がいた。
酒は帰ってから飲もうと思っていたけれど、旨そうなメニューを見ていたら急に飲みたくなってきた。お互いに好きなものを頼み、一緒にビールも注文する。
ビールが来るまでの間、白石は真剣な顔をして仕事の話をし始めた。
普通、こういう席で仕事の話をするのは嫌がる奴が多いっていうのに、やっぱりこいつは真面目な女性だ。
「ここにはよく来るのか?」
「たまに。休みの日に美味しいお蕎麦を食べたくなったときに来るんですけど、お昼って定食だけなんですよね。この夜のメニューの出汁巻き玉子がどうしても食べてみたくて。お蕎麦屋さんの出汁巻き玉子って美味しそうじゃないですか。だけど夜にひとりでここにはなかなか来れないし入りづらくて」
俺のことを気遣って食事に誘ってくれたのではないかと勝手に思っていたが、どうやら本当にここの蕎麦屋の出汁巻き玉子が食べたかっただけのようだ。
なぜか少し寂しい気持ちを感じながらも、こうして店に入っても噂好きの女性たちのように麗香のことを一切聞いてこない白石にほっとする俺がいた。
酒は帰ってから飲もうと思っていたけれど、旨そうなメニューを見ていたら急に飲みたくなってきた。お互いに好きなものを頼み、一緒にビールも注文する。
ビールが来るまでの間、白石は真剣な顔をして仕事の話をし始めた。
普通、こういう席で仕事の話をするのは嫌がる奴が多いっていうのに、やっぱりこいつは真面目な女性だ。