すべてが始まる夜に
オープン時の大変さを考慮して、来てくれたお客さんたちにゆったりと過ごしてもらおうと、あえて月曜日のオープンにしたのに、学生の人たちが春休みということもあってか、午後になっても客足は衰えず大盛況だった。
返却口の前で帰っていくお客さんの食器を笑顔で受け取りながら、「ありがとうございました」と声をかけていると、部長が私の方へ近づいてきた。
「茉里、そろそろ空港に向かった方がいいんじゃないのか?」
耳元でそう言われ腕時計を見ると、時刻はもうすぐ17時になろうとしていた。
「うわっ、もうこんな時間だったんだ。19時の飛行機だから、18時前に出れば間に合うかな?」
「何を言ってるんだ。これから空港行くぞ。俺が送っていく」
「まだ、17時だよ」
そう言ったにもかかわらず、部長は厨房にいる林さんに声をかけた。
「林、悪い。ちょっとこいつを空港まで送ってくる。少しだけ外出するが、大丈夫か?」
「全然大丈夫ですけど……。それより今日は白石さんは泊まられないんですか?」
林さんから尋ねられた私は、謝りながら頭を下げた。
「そうなんです。すみません。担当者なのに最後まで見届けずに帰るのは申し訳ないのですが、どうしても今日中に帰らないといけなくて……。本当にすみません……」
「残念だな……。福岡の美味しいものを食べてもらいたかったのに」
「本当にすみません。また次の機会によろしくお願いします。楽しみにしてますね」
そんな会話をしていると、横から部長が不機嫌そうに林さんに視線を向けた
返却口の前で帰っていくお客さんの食器を笑顔で受け取りながら、「ありがとうございました」と声をかけていると、部長が私の方へ近づいてきた。
「茉里、そろそろ空港に向かった方がいいんじゃないのか?」
耳元でそう言われ腕時計を見ると、時刻はもうすぐ17時になろうとしていた。
「うわっ、もうこんな時間だったんだ。19時の飛行機だから、18時前に出れば間に合うかな?」
「何を言ってるんだ。これから空港行くぞ。俺が送っていく」
「まだ、17時だよ」
そう言ったにもかかわらず、部長は厨房にいる林さんに声をかけた。
「林、悪い。ちょっとこいつを空港まで送ってくる。少しだけ外出するが、大丈夫か?」
「全然大丈夫ですけど……。それより今日は白石さんは泊まられないんですか?」
林さんから尋ねられた私は、謝りながら頭を下げた。
「そうなんです。すみません。担当者なのに最後まで見届けずに帰るのは申し訳ないのですが、どうしても今日中に帰らないといけなくて……。本当にすみません……」
「残念だな……。福岡の美味しいものを食べてもらいたかったのに」
「本当にすみません。また次の機会によろしくお願いします。楽しみにしてますね」
そんな会話をしていると、横から部長が不機嫌そうに林さんに視線を向けた