隣人と仲良し

そういって尚ナオは靭ジンの手を捕まえて靭ジンの隣りの家尚ナオの家へとつれって行った。

「ここに手型をつけてね。いっぱい」

本当に手を貸してほしかったのだ。

白い画用紙に靭ジンの手を緑の絵の具をべっとりつけ、手型をペタペタつけた。

「うん、うん、やっぱ輪リンの大人な手はいいね。
 僕の手は小さくてだめなんだ~」

少年笑顔~な尚ナオ。

「何か、子供に戻ったみたいだ」

緑色になった自分の手を見つめる靭ジン。

「え~い」

そう言って尚ナオの園服のようなダボダボの絵の具があっちゃらこっちゃらついている服
に手型をつける靭ジン。

「わぁ~輪リンの手型だぁ~」

調子に乗った男達は、手型をあたり一面につけ始めた。

二人は絵の具だらけと化した。

「尚、入るわよ~。
 わっ、何やってんの?あんた達??」

香カオが入ってきて、二人を見てびっくりした。

「絵を描こうと…手型、輪リンにつけてもらった」

その画用紙は靭ジンの手型がどれなのか分からないくらいいろんな色が混ざっていた。

「ハハ、何じゃこりゃ」

「タイトル『なんじゃこりゃ』!!」

二人はバカ笑い、あきれる香カオ。

この日、靭ジンは尚ナオに引越しのことが言えなかった。


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