一緒に居たい
柚奈said
何年前だろうか…確か13年前くらいだった
あの頃の私はまだ健康で、みんなと同じように学校に通って運動して、放課後には友達と走り回って元気な普通の子どもだった。

その生活が変わったのは私が小学5年生の時。
突然意味もなく手が震えだしたのだ。
この時はただ寒くて震えていると思えるくらいの震えだった。
それから毎日のように手、足、頭と震える場所が増え震えが大きくなっていき怖くなったので父と母に伝えたらすぐに病院に連れて行ってもらえた。

病院では色々な検査をしたが原因が不明。
けど、病名は舞踏病だと診断された。
一旦ステロイド剤を投与されその日はそのまま帰ることになった。
これが私の生活が一気に激変した出来事。
この日から私は『普通の』子どもではなくなった。

そして今18歳になった私は高校を卒業し、その病気を隠し仕事をしている。
なぜ、隠しているのかというと就活の時に面接でその事を伝えると必ず不採用だったから…
隠し事するのは良くないと思い正直に話していたら何社も落ちた。その度に苦しくて、なんで私がこんな思いしなければいけないのか、私が悪いのかと責め泣いていた。
もうこんな思いするのは嫌だからいっそ隠すことにした。
そしたら今の会社で内定がもらえたというわけ。
この会社はスーパーを経営していて基本立ち仕事だ。私はレジ課に正式に配属されもう3ヶ月経ちもうだいぶ慣れたもんだ。

?「如月さーん」

まあ、なんとか病気の発作も出ずなんとか新人ながらに頑張っている。

?「き、さ、ら、ぎさーーん!!」

柚奈「はい!!!」

呼ばれていることにも気づかなかった…
振り返ると先輩の羽柴さんが立っていた。

羽柴「如月さんどうしたの?珍しいじゃないそんなにぼーっとして」

柚奈「いえ、何もないです!」

羽柴「そう?ならいいんだけど。これ、本社から通達来てたから如月さんもちゃんと目通しておいてね!あ、それから今日から他店から移動してくる子がいるからね!」

柚奈「分かりました!」

羽柴さんは私の先輩兼教育係。美人で面倒見がよくて仕事ができる人。
私の憧れだ。もちろん羽柴さんにも自分の病気の事は内緒だ。
それにしてもこの時期に移動なんて珍しいな…
今は1月だ。
この会社の移動はだいたい3月、10月に行われるので中途採用などよっぽどでないと行われない。

柚奈「そろそろ朝礼だ、行かないと」

朝の準備をしてぎりぎりまで通達を読んでいたので早歩きで朝礼に向かった。

店長「おはようございます!今日は新しくうちの店に来てくれた仲間を紹介します!」

?「初めまして!今日からこちらにお世話になります佐藤冬真です!よろしくお願いします!」

これが私と冬真の出会いだった。





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