キミと迎えた2回目の夏
*1回目の夏*
高校に入って初めての夏。
蒸し蒸しとした暑さに弱い私は、机にうつ伏せになっていた。
これからもっと暑い日が来るであろうに、早く夏が終われ!と心の中で願っていたその時だった。
隣の席の方から、パキッとなにかを割る音が聞こえて何事かと気になった私は少し横を向いた。
すると、隣に座っている彼が購買で買ったのだろうか2つくっ付いているアイスを割っていた。
いいな‥‥‥。
この暑さにアイスは最高だろうなと見ていたら、ふと彼と目が合ってしまった。
入学して以来、まだ挨拶も話しかけたことも1度もないのに、彼は手に持っているアイスを私に1つ差し出してくれた。
「いる?」
「えっ、でも‥‥‥」
私はうつ伏せになっていた体を起こして、少し考えた。
人のものをそう簡単に貰っていいのだろうかと。
アイスを受け取らずにいると。
「いらないの? だったら2つとも俺が食べちゃうけど?」
彼は、悪戯っ子のような表情を見せた。
その表情を見る限り、多分、私のことをからかっているに気がいない。