極上御曹司は懐妊秘書を娶りたい
恐れ多くも『彼』から預かっていた鍵を、震える手でキーシリンダーに差し込む。
かちゃりという音を確認してからドアノブを回せば、シンプルで洗練されたデザインのドアが開いて、奥からふわりと知らない家の香りが漂ってきた。城阪社長に近付いたときに感じる香りと似たような、爽やかなのにどこか蠱惑的な香りに、思わずこくりと喉が鳴る。
「お邪魔します……」
私は小声で囁きながらドアの隙間に滑り込んで、おっかなびっくりしながら家、――――城阪社長の家に上がり込んだ。
会社からも近い、都内の一等地にあるマンションの一室なだけあって、一人で住む家とは思えないほどに広い。リビングに入って最初に目に留まったアイランドキッチンにも、しっかりと最新の調理器具たちが備え付けられていた。料理のし甲斐がありそうなキッチンに、私は感じていた緊張も一瞬忘れて、つい頬を緩めてしまう。
リビングは落ち着きのあるシックモダンで統一されていて、見たこともないような大きさのソファーやテレビが目を惹く部屋となっていた。余計なものが少ないところに城阪社長らしさを感じると共に、さりげなく置かれた観葉植物の数々を少し意外に思う。もしかしたら、社長はこういうのが好きなのかも。一番手近にあった小さなサボテンをつんと突いて、私は深く息を吐き出した。
「……本当に、来ちゃった」
感動と後悔が半分ずつ混ざり合った感情が、私の唇からそんな言葉を零す。こうして木目の美しいフローリングを踏みしめていても、実感は未だちっとも湧いていなかった。そもそも城阪社長と一夜を過ごしたことも、彼の子どもを身ごもったことも、こうしてハウスキーパーを頼まれたことすらも、未だに夢のように捉えてしまっている節がある。でも、そのどれもが現実のことで。
――――本当に、これでよかったのかな、なんて。
かちゃりという音を確認してからドアノブを回せば、シンプルで洗練されたデザインのドアが開いて、奥からふわりと知らない家の香りが漂ってきた。城阪社長に近付いたときに感じる香りと似たような、爽やかなのにどこか蠱惑的な香りに、思わずこくりと喉が鳴る。
「お邪魔します……」
私は小声で囁きながらドアの隙間に滑り込んで、おっかなびっくりしながら家、――――城阪社長の家に上がり込んだ。
会社からも近い、都内の一等地にあるマンションの一室なだけあって、一人で住む家とは思えないほどに広い。リビングに入って最初に目に留まったアイランドキッチンにも、しっかりと最新の調理器具たちが備え付けられていた。料理のし甲斐がありそうなキッチンに、私は感じていた緊張も一瞬忘れて、つい頬を緩めてしまう。
リビングは落ち着きのあるシックモダンで統一されていて、見たこともないような大きさのソファーやテレビが目を惹く部屋となっていた。余計なものが少ないところに城阪社長らしさを感じると共に、さりげなく置かれた観葉植物の数々を少し意外に思う。もしかしたら、社長はこういうのが好きなのかも。一番手近にあった小さなサボテンをつんと突いて、私は深く息を吐き出した。
「……本当に、来ちゃった」
感動と後悔が半分ずつ混ざり合った感情が、私の唇からそんな言葉を零す。こうして木目の美しいフローリングを踏みしめていても、実感は未だちっとも湧いていなかった。そもそも城阪社長と一夜を過ごしたことも、彼の子どもを身ごもったことも、こうしてハウスキーパーを頼まれたことすらも、未だに夢のように捉えてしまっている節がある。でも、そのどれもが現実のことで。
――――本当に、これでよかったのかな、なんて。