極上御曹司は懐妊秘書を娶りたい
「あの、本当にここまでしていただかなくても……」
お風呂から上がって寝る準備を整えた私は、先ほどの憂いも吹き飛ばすほどの困惑と羞恥に襲われていた。
リビングの上等なソファーに腰かける私の足元には跪いた景光さんがいて、恭しく私の足を持ち上げている。彼の手によって爪先に被せられるのは、厚手の靴下で。
「駄目だ。湯冷めしたらどうする」
「靴下ぐらい自分で履けますから……!」
「履くために身体を曲げると腹部を圧迫することになるだろう? それはあまりよくないんじゃないか。それにもうすぐ……ほら、終わった」
ぱっと手が離されたのを機に足元を見下ろすと、私の青白い爪先は、グレーの柔らかい靴下にすっぽりと包み込まれていた。保温効果があるのか、ただ履いているだけでも何となく温かく、冷えかけていたふくらはぎの辺りまで温まってくる。
履かされたのはかなり恥ずかしかったけれど、この靴下自体はとても有難かった。ただ、景光さんの靴下だからかなり大きい。借りたTシャツとスウェットと合わせて、全身彼の服に包まれていると思うと妙に落ち着かなくて、私はそわそわと爪先を擦り合わせてしまう。
――――だってこれじゃあまるで、彼氏の家に泊まりに来たみたいだ。
居たたまれなさを誤魔化すようにそっと息をつくと、私の前に跪いたままだった景光さんが立ち上がり、後ろにあるドアを指差した。
「寝室はそっちだ。シーツもカバーも変えてあるから、ちゃんと布団を被って寝てくれよ」
「……えっ、じゃあ景光さんは」
「俺はここで寝る」
ここ、と示された場所は、私が今まさに座っているソファーだった。
数秒かけて意味を呑み込んだ私は、慌てて彼の腕に縋り付く。
「だ、駄目です! 家主を差し置いて私がベッドで寝るなんて……私がソファーで寝ますから……」
私がそう言うと、彼は呆れたような長い長い溜息をついて、ぐしゃりと髪を掻き回してみせた。
お風呂から上がって寝る準備を整えた私は、先ほどの憂いも吹き飛ばすほどの困惑と羞恥に襲われていた。
リビングの上等なソファーに腰かける私の足元には跪いた景光さんがいて、恭しく私の足を持ち上げている。彼の手によって爪先に被せられるのは、厚手の靴下で。
「駄目だ。湯冷めしたらどうする」
「靴下ぐらい自分で履けますから……!」
「履くために身体を曲げると腹部を圧迫することになるだろう? それはあまりよくないんじゃないか。それにもうすぐ……ほら、終わった」
ぱっと手が離されたのを機に足元を見下ろすと、私の青白い爪先は、グレーの柔らかい靴下にすっぽりと包み込まれていた。保温効果があるのか、ただ履いているだけでも何となく温かく、冷えかけていたふくらはぎの辺りまで温まってくる。
履かされたのはかなり恥ずかしかったけれど、この靴下自体はとても有難かった。ただ、景光さんの靴下だからかなり大きい。借りたTシャツとスウェットと合わせて、全身彼の服に包まれていると思うと妙に落ち着かなくて、私はそわそわと爪先を擦り合わせてしまう。
――――だってこれじゃあまるで、彼氏の家に泊まりに来たみたいだ。
居たたまれなさを誤魔化すようにそっと息をつくと、私の前に跪いたままだった景光さんが立ち上がり、後ろにあるドアを指差した。
「寝室はそっちだ。シーツもカバーも変えてあるから、ちゃんと布団を被って寝てくれよ」
「……えっ、じゃあ景光さんは」
「俺はここで寝る」
ここ、と示された場所は、私が今まさに座っているソファーだった。
数秒かけて意味を呑み込んだ私は、慌てて彼の腕に縋り付く。
「だ、駄目です! 家主を差し置いて私がベッドで寝るなんて……私がソファーで寝ますから……」
私がそう言うと、彼は呆れたような長い長い溜息をついて、ぐしゃりと髪を掻き回してみせた。