極上御曹司は懐妊秘書を娶りたい
「待ってください……私、麻田です。もしかして誰かとお間違えなのでは……」
「……」
「そ、それか、かなり酔ってらっしゃいますか? やはり、お水を飲まれたほうが、」
「……君はいつも静かなのに、今日はよく喋るな」
もう、黙れ。
その台詞は確かに命令なのに、とびっきりの睦言に聞こえるほどの甘さを孕んでいた。その甘さがじゅわりと脳を溶かすのを知覚すると同時に、忙しなく動き続ける私の唇が、城阪社長によって勢いよく、食べられてしまって。
「っ……!? ふ、ぁ……っ」
「ッ、は……」
唇に触れた柔い感触を確かめる間もなく、アルコールの味が咥内になだれ込んでくる。驚きで呼吸を止めた私の舌に、熱く濡れた城阪社長の舌が絡みついて、熱を分け与えるように全体を擦りつけてきた。
「ン……、っもう少し、口を開けてくれ」
「っや、なに……っあ、ぅ、んん……っ」
キス、されてる、――――城阪社長に。
それを理解した瞬間、どっと鼓動が跳ね上がる。生まれて初めてのキスだという衝撃と、相手が城阪社長であるという衝撃が二重になって襲い掛かってくるせいで、心臓は破れそうなほどに早鐘を打っていた。何がどうなってこの状況になったのか、さっぱり分からない。分からないけれど、このまま流されてはいけないことだけは分かる。
いっそ眩暈を覚えながら、私はほとんど反射的に腕を動かそうと力を込めた。しかしそれは城阪社長の手によって、あっさりと封じ込められてしまう。彼は長く深いキスを一度ほどくと、濡れたそれを厭らしく舐め上げながら、ゆるりと目を細めてみせた。
「……存外、お転婆だな」
掠れた声が息だけで笑って、首筋に吸い付くようなキスが何度も何度も降ってくる。身を捩って小さく抵抗しても、熱く逞しい身体に圧し掛かられてしまえば、どうしようもない。掻き抱くように後頭部と腰に腕が回されて、私は彼の下で貪るようなキスに溺れた。
「っ、だめ……しゃちょ、ほんとに……」
「だめじゃない。……ようやく、」
だからこそ、――――意識が完全に快楽と熱に飲まれる瞬間、城阪社長が何と言ったかは分からなかった。
「……」
「そ、それか、かなり酔ってらっしゃいますか? やはり、お水を飲まれたほうが、」
「……君はいつも静かなのに、今日はよく喋るな」
もう、黙れ。
その台詞は確かに命令なのに、とびっきりの睦言に聞こえるほどの甘さを孕んでいた。その甘さがじゅわりと脳を溶かすのを知覚すると同時に、忙しなく動き続ける私の唇が、城阪社長によって勢いよく、食べられてしまって。
「っ……!? ふ、ぁ……っ」
「ッ、は……」
唇に触れた柔い感触を確かめる間もなく、アルコールの味が咥内になだれ込んでくる。驚きで呼吸を止めた私の舌に、熱く濡れた城阪社長の舌が絡みついて、熱を分け与えるように全体を擦りつけてきた。
「ン……、っもう少し、口を開けてくれ」
「っや、なに……っあ、ぅ、んん……っ」
キス、されてる、――――城阪社長に。
それを理解した瞬間、どっと鼓動が跳ね上がる。生まれて初めてのキスだという衝撃と、相手が城阪社長であるという衝撃が二重になって襲い掛かってくるせいで、心臓は破れそうなほどに早鐘を打っていた。何がどうなってこの状況になったのか、さっぱり分からない。分からないけれど、このまま流されてはいけないことだけは分かる。
いっそ眩暈を覚えながら、私はほとんど反射的に腕を動かそうと力を込めた。しかしそれは城阪社長の手によって、あっさりと封じ込められてしまう。彼は長く深いキスを一度ほどくと、濡れたそれを厭らしく舐め上げながら、ゆるりと目を細めてみせた。
「……存外、お転婆だな」
掠れた声が息だけで笑って、首筋に吸い付くようなキスが何度も何度も降ってくる。身を捩って小さく抵抗しても、熱く逞しい身体に圧し掛かられてしまえば、どうしようもない。掻き抱くように後頭部と腰に腕が回されて、私は彼の下で貪るようなキスに溺れた。
「っ、だめ……しゃちょ、ほんとに……」
「だめじゃない。……ようやく、」
だからこそ、――――意識が完全に快楽と熱に飲まれる瞬間、城阪社長が何と言ったかは分からなかった。