ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

 口から固形の食べ物を摂取できない人が、鼻からチューブを入れたり、お腹に穴を空けて、少しずつ胃に流しこむのが経管栄養。

 人を生かすためのものなので、栄養的にいいというのは納得なんだけど。

「毎食あれだとつらそうなので、もう少し味に変化を出せるものを……」

「ふふ、わかっていますよ」

 経管栄養をすすめるのは、栄養士ギャグだったらしい。

 そこから、具体的なアドバイスが始まった。

「ご飯はお茶碗に軽く一杯くらいなら太りません。野菜はどれだけでも。なるべくたくさんがいいですね。たんぱく質は、毎食手のひら一枚分は欲しいです。むくみをなくすため、できるだけ薄味で」

「ふむふむ」

 たんぱく質も、脂肪を筋肉に変えるために非常に重要な役割を果たすのだとか。

 そうめんやそばは脂質がないからヘルシーにみえるけど、所詮は炭水化物。塩分も高くなるので、おすすめできないとか。

 谷口さんの言葉を聞き洩らさないようにメモしていると、視界の端に白衣がちらっと見えた。

「谷口さん、あとはナースステーションで」

 廊下で話しているのを見られるのはよくない。谷口さんの背を押し、移動しようとすると、白衣の主が後ろで言った。

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