ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
「よくもまあそんなにべらべらと話すことがあるよな。これだから女ってやつは」
人の神経を逆なでする声。そっと確認すると、やっぱり。原研修医だ。
「行きましょ」
びくっと身をすくめた谷口さんを守るようにし、先に行くように促す。
こんなときは、自分の体が大きくてよかったと思う。
「ムダなことをせずに、仕事に専念しろよ。なにがダイエットだ。まさか好きなやつでもできたのか?」
嘲笑するような声が、廊下に響く。これを患者さんが聞いたら、こんな医者がいるのかと不安にさせてしまいそう。
パワハラとセクハラの塊のような原研修医に向き直った私は、彼の目の前まで行き、その憎らしい顔を見上げた。
「いけませんか」
「なに?」
「デブが恋をしちゃいけませんか。医者なら、看護師になにを言ってもいいんですか」
詰め寄ると、原研修医はたじたじと後退した。
「なんだよ、お前」
「進藤先生に怒られた腹いせですか。それとも単に、私が嫌いなんですか」
「ちっ、めんどくせえなあ」
「めんどくさいなら、仕事に関係のないことで話しかけないでください」