ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

 ぽかんとする私の額に自分の額をつけた進藤さんが、至近距離で苦笑してから、真面目な顔でささやいた。

「千紗のすべてを、俺にくれないか」

 火がついたみたいに、顔が熱くなった。いや、全身が熱い。

 それって、つまり、そういうことだよね。

「もうそろそろ、我慢の限界なんだ」

 切なげな声音に、胸がキュンと鳴った。

「俺はどんな千紗でも受け入れるよ。千紗は俺を信用できない?」

 彼は私を見つめ、ひとつキスをした。一回しだしたら、それだけでは終われない。

 何度もキスを繰り返し、唇の感覚がなくなってきたとき、彼がのしかかってくる気配がした。

「ちょっと待って! 待ってください!」

「うん?」

「明日も日勤なので! 今度の休みの前日にしてくださいっ」

 どうしてそんなことを口走ったのか、自分でもわからない。

 とにかく私から少しだけ離れた進藤さんは、じっとこっちを見ている。

「そうか、明日の仕事に影響するといけないな。じゃあ、今度の千紗の休みの前日、必ず。約束だ」

 彼はすっと右の小指を差し出した。

 もしや、指切り?

 おずおずと手を出すと、小指を絡められ、半ば強引に指切りさせられた。

 その後、ひとりでお風呂に入っているときも、速い鼓動が緩まることはなかった。

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