ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
それって、わざわざ初めての夜を迎えるために、こんな高級ホテルの部屋を予約したってこと?
「聞いてません、聞いてません」
普通に食事をしてマンションに帰って……そういうことになると思っていたので、なんの準備もしていない。
そういえば、さっき進藤さんも私もお酒を飲んだじゃない。車を運転できるはずがない。どうして早く気付かなかったのか。
「そうか。じゃあ初サプライズだ」
彼はまったく悪びれる様子もなく、ある部屋の前で立ち止まった。
ポケットから薄いカードを取り出し、入口の機械にあてる。
っていうかそのカード、いつから持っていたのか。
サプライズというよりは罠にはまったような気分で、開いたドアの中に入った。
「うわあ……」
私は言葉を失った。
レストランよりも上階にあるその部屋は、私の背丈よりも高いガラス窓から夜景が見えた。
夜景だけがすごいのではない。まず部屋が広く、マンションにあるものよりも大きなベッドが鎮座していた。
そろそろと中に入っていくと、これまた広いバスルームが。
「料理へのリアクションの方がよかったな」
進藤さんが私をからかって笑う。