ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

「言葉を失っているんです。こういうところに泊まるの、初めてで」

 いわゆるスイートルームというものだろう。

 当然友達どうしの旅行でも、家族旅行でも、このような豪華な部屋に泊まったことはない。

 いつも窓が最小限しか開かなくて、薄暗くて、ユニットバスで……みたいなところばかりだった。

「初めての日は、いい思い出にしたいと思ってね」

 部屋の中央でぼんやり周りを見回していた私を、進藤さんが後ろからふわりと抱き寄せた。

 背中に密着した進藤さんの息が、耳元にかかる。

「聞いてた?」

「はい? えっと、あの」

「約束だからな。もう逃がさない」

 進藤さんの手が、服の上から胸の膨らみを柔らかく包み込む。

「わっ、わあっ」

「静かに」

 首筋にキスをされ、全身が震えた。

 彼の手は休むことなく、私の体の感触を確かめている。

 出かける前に覚悟を決めていたはずなのに、いざとなると体が竦んでしまう。

「……シャワー、浴びてくる?」

 彼の声が湿り気を帯びているように聞こえた。

 必死で何度もうなずくと、彼はあっさりと手を放してくれた。

「お先にどうぞ」

「うん」
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