ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

 たったこれだけで、息も絶え絶えだ。私、無事に朝を迎えられるかな。

 バスルームから水音が聞こえてきて、余計に緊張する。

 ええと、お泊まりだからメイクは落としていいのかな。きれいなままの方がいいのかな。

 汗で流れたり、そのまま寝ちゃったりした場合を考えると、落とした方がいいのか。

 そんなことを悶々と悩み、スマホで検索してみようかと思っていたら、背後から声がした。

「お待たせ。どうぞ」

 びくんと跳ねた私は、うなずいて小走りにバスルームへ逃げ込んだ。

 結局、すでに毎日すっぴんを見られているから、という理由でメイクを完全に落とし、体にバスタオルだけを巻いて彼のもとに戻ることにした。

 備え付けのバスローブでもいいかと思ったけど、この体形なのでプロレスラーに見えてしまうと困るからタオルにしたけど、心もとない。

 できるだけゆっくりバスルームを出ると、進藤さんがベッドの上で横になり目を閉じていた。

 寝ているみたい。私は正直ホッとする。

「お仕事だったものね。お疲れ様」

 ベッドの端に座り、髪を撫でようと手を伸ばすと、急に動いた進藤さんの手に捕まってしまった。

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