ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

 オペ室の事務員さんに謝罪をしてトボトボと帰ろうとすると、受付の奥から防護を解いた看護師がこちらに聞こえるように言った。

「調子に乗ってるからよ」

 ピタリと足が止まってしまった。

 今の、完全に私に対して言ったよね。

 ぐるりと振り返り、言い返したい衝動に駆られるけど、なんとか自分を落ち着けた。

 早足でその場を去り、エレベーターに乗ってやっと息をついた。

 危ない危ない。言い返さなくてよかった。

 だって、今日のミスは慌てていた私のせいだもの。嫌味を言われても仕方ない。

 それに、同じ病院内でやりあうのはやっぱりよくない。

 いつ異動で同じ部署で働くことになるかわからないものね。

 大人らしくスルーできた自分を褒め、昼休憩に入った。数時間して、病棟の電話が鳴った。

「はい、わかりました。高場さん、岩沢さんのオペ終わったそうなのでお迎えお願いします」

 コール一回で電話に出た事務員さんが、電話を切ってすぐに私に報告する。

 私はいつお迎えコールがあるか待ち構えていたので、準備万端で病棟を出た。

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