ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
オペの患者さんだけじゃない。他の受け持ち患者もいる。他の仕事はまだたっぷり残っている。
オペ室のごたごたは私が口出しすることじゃない。
それよりも、しっかり患者さんと向き合うことを考えなきゃ。
「……はい」
こくりとうなずくと、進藤さんは目線だけで応え、背を向けた。
翌日から、患者さんを巻き込むような嫌がらせはなくなった。
進藤さんが『穏やかに話をしておいた』と言っていたけど、果たして本当に穏やかだったのだろうか。知る術もない。
結局、電話が遅れたのは、オペ室の事務員さんの勘違いということにされたらしい。
事務員さんが勝手に病棟に電話をすることはないので、看護師の誰かに罪をなすりつけられた可能性もある。けど、証拠はなかった。
それはさておき、患者さんや事務員さんを巻き込まない嫌がらせは、相変わらず続いている。嫌がらせというより、あたりが強くなったという感じか。
オペ室に行くたび、無視されたり、すれ違いざまに「邪魔」と言われたり。
それくらいなら我慢できるので、進藤さんにもなにも言っていない。