ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

「嫌です」

 はっきり言った。なんの冗談か知らないけど、原研修医でいいわけない。

「冗談はやめてください」

「冗談じゃない」

「じゃあ、新手の嫌がらせですか」

「違う。お前、じゃなくてレストランできれいになった高場さんを見てから、俺──」

 赤くなる原研修医を目のあたりにし、私の全身に鳥肌が立った。

 ぞくぞくと悪寒のような気分の悪さが血管中を駆け巡る。

「そんなこと言われても、信じられません」

 おそらく、彼は私が進藤さんといるところを見て、お金目あてだと勘違いしちゃったんだ。

 敏腕ドクターの進藤さんが選んだ女性が欲しい。憧れの人と同じものを欲しがる子供と一緒だ。

「いいじゃないか。金が欲しくて医者と付き合っているんだろ。俺も将来は医者だ」

 じりじりと距離を詰めてくる彼から逃げるように、手で彼の胸を押し返す。

「そういうわけじゃありません」

 私は進藤さんがドクターだから好きになったんじゃない。

 いくらお金と地位があったって、人として間違っている人は好きになれない。

「うるさい。いいから俺と付き合え」

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