ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
「お、俺の実家だって病院だ。そんな脅し、怖くない」
「ほう、そうか。実家を巻き込んでいいのか。よくわかった」
原研修医の実家がどういう病院なのか知らないけど、進藤さんの圧がすごい。なにをすると具体的には言わないものの、なにかとんでもないことが起きそうな気がしてくる。
「す、すみませんでした!」
勝ち目がないと悟ったのか、形ばかりの謝罪をし、頭も下げずに彼は逃げだした。
「帰るぞ」
進藤さんは原研修医の後ろ姿を見送ると、私の手を握った。
「あ、はい。って、あのっ」
手を繋がれたまま、私は進藤さんに引きずられるようにして食堂を出た。
私服でも、イケメンは自然と目立つもの。
食堂を出て病院の出入口に通じる廊下に出た途端、私たちは職員たちの視線にさらされた。
「え、うそ」
「あれって、外科の進藤先生?」
看護師やパートのおばさんの声が背後でした。