ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

 本当なら帰りにスーパーに寄って、夕食用の買い物をしたかったけど、とても言い出せる雰囲気ではなかった。

「今日もお疲れ様です。夕食はなににしましょう?」

 お腹が空いたままだと余計にイライラすると思ったので、マンションに着いたタイミングでつとめて明るく言ってみた。

 中に入ろうとする私の背後で、ドアがロックされる音がした。

 進藤さんはむっつりしたまま玄関から動かない。と思ったら、突然私を抱き寄せた。

 持っていたバッグが玄関に落ちる。靴を履いたまま、私は進藤さんに抱きしめられていた。

「千紗、今すぐ俺と結婚してくれ。あと一か月も待てない」

 切実な声に、鼓動が跳ねあがる。

「君はとてもきれいになった。もう他の男が放っておかない」

 やっぱり、さっき原研修医にされたことが気になっているらしい。

「だ、大丈夫ですよ。原研修医はきっと、私に嫌がらせをしたいんだと思います。いつもいつも、意地悪なことばかり言ってきて」

「子供が好きな子をいじめる心理と同じだろ」

 それはちょっと違うような。

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