ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

「そんなのつけたら、あっ……。た、佑さん」

 更衣室で制服に着替えるとき、下着姿になる瞬間がある。

 そのときにキスマークを見られるのは、さすがに恥ずかしい。

 照れくさかったけど、なんとか彼の下の名前を呼んだ。すると彼は満足そうに微笑んだ。

「君は俺が最初に見つけたんだ。これからもずっと、俺だけのものでいてくれ」

 返事はいらないと言うように、彼は私の唇を貪った。

 私たちはそのまま、ベッドの上で抱き合った。

 何度も、お互いの体温を確かめ合うように。



 数か月後。

「まああ、高場さんきれいだわ!」

 ゲストの前に登場した私に、師長が声をかけてくれた。

 今日は私と進藤さん……じゃない、佑さんの結婚式。

 原研修医の事件の翌日、私たちはそれぞれの両親に報告し、婚姻届を提出した。

『これで誰もうかつなことはするまい』なんて言い、佑さんは満足そうだった。

 人事部に結婚の届けを出した私は、翌日から名札を『進藤千紗』に変えて出勤した。

 最初に報告した師長も驚いていたけど、同僚の看護師たちの驚きは半端じゃなかった。

< 168 / 171 >

この作品をシェア

pagetop