ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
「みんなが君を祝福してくれるのは、どうしてかわかる?」
不意にそんな質問をされて、私は首を傾げた。
「結婚式だもの、祝福するのは当然じゃない?」
「そういうところだよ」
佑さんはクスクスと笑った。
「君は病棟の看護師たちを信用している。そして彼女たちは君が大好きだ。見ていてわかるよ」
「そんなこと……」
「千紗は周りの人を大事にできる。笑顔にできる。だからみんな快く祝福してくれたんだ」
佑さんは私の肩を抱き寄せ、頬にキスをした。
「あのお見合いの席で、俺は久しぶりに笑ったんだ。君の素直な姿がとてもかわいかったから」
今思い出すと恥ずかしくなる。
私は欲望に素直になって、食事をしていただけだ。
「君は俺の、自慢の花嫁だよ」
今度は唇に、軽いキスが降ってきた。
「私も、あなたが大好きです」
自然と頬が緩み、笑顔になった。
私を笑顔にしてくれたのは、強くしてくれたのは、あなただ。
あなたに会えたおかげで、私は私を好きになれた。
そしてそれ以上に大切なものを見つけられた。
なによりも大切なあなた。
病めるときも、健やかなるときも、じゃなくて。
私が痩せているときも、太っているときも、ずっとそばにいてね。
かかとを上げて背伸びをし、初めて自分から佑さんにキスをした。
【完】