ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
『それが昨日の話』
「昨日!? やるう、茉莉ちゃん」
『面白がっている場合じゃないのよ』
たしなめられて、私は黙った。
でも、茉莉ちゃんが自由を貫けてよかったと思う。今時家柄が~とか、女性は早く結婚すべきとか、古すぎるもん。
『今度のお見合いのお相手さんね、すごい家柄らしいのよ。三十歳になった息子さんに早くお嫁さんを見つけてあげなきゃって、躍起になっているらしいの』
「そんな家、この時代にゴロゴロあるものなの?」
お金持ちの考えることはわからない。うちの実家は残念ながら歯科医院でもなんでもない、普通の家だ。
『とにかく、ドタキャンして怒らせたら怖い相手なんだって』
「はあ……」
『だから千紗、代わりに出席してくれない?』
「えー、やだよ。茉莉ちゃんと私じゃ違いすぎるもん」
小さい頃は私も痩せていたので、茉莉ちゃんと一緒に歩いていると姉妹に間違われることもあった。
けど、私はあの頃と随分変わってしまった。大きく育ちすぎた。
『大丈夫! 茉莉ちゃんも、最近ふっくらしてたから。それに、茉莉ちゃんが行けなくなったことは素直に申告済で、相手も了承したらしいのよ。その代わり、年頃の女性を連れてこいって言われたらしくて』
「ひいいいい」