ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
たしかに、顔がべたべたしているのを感じる。が、不衛生なので、点滴を用意している間は手で汗を拭くことができない。
ナースステーションの室温が高いわけではない。その証拠に、後輩の肌や前髪はさらさらとしている。
その原因は、私が太っているからだと思われる。いや、太っていても汗をかかない人もいるだろうけど。
身長百五十七センチ、体重七十キロ。よく言えばぽっちゃりの部類だろうか。
「いやー、汗が止まらないなー、あれ、暑いの私だけ?」
私は点滴の用意を終え、その辺りにあった不織布ガーゼを取って汗をぬぐう。
「ほんと、高場さんだけ汗だくじゃない」
そこにいた看護師全員がどっと笑った。それだけで、忙しくて殺伐としていた雰囲気が和らいだ気がする。
「じゃ、ラウンド行ってきまーす」
太っていることをネタにするのはいつものことだ。みんなが笑ってくれたら、それでいい。
私はパソコンをのせたカートに点滴や採血管などを積み乗せ、担当患者の部屋を回る。
「おはようございます。お昼の担当の高場です。調子はいかがですか?」
昨日、痔の手術をしたばかりの四十代男性患者に笑顔で声をかける。