ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
「女性を食事に誘って、断られたのは初めてだと言ったけど。実は、自分から誘ったこと自体、君が初めてだ」
またすぐ触れられる距離でささやいた進藤先生の息がかかる。
「あ、そう、えっと……お、おやすみなさい!」
このままいては、結局進藤先生が早く帰れない。
強烈な磁力を放っているかのような先生から体を引きはがし、車から降りた。
「おやすみ。いい夢を」
何事もなかったようにさらっと微笑み、進藤先生は車を発進させた。
ど、ど、ど、どうしよう。初めてキスしちゃった。今度病棟で会ったら、どんな顔をすればいいの?
私は人生初の出来事に戸惑い、自分の部屋に入るなり、へなへなと座り込んでしまった。
仕事の後に食事以外のことを考えているのは、これが初めてだった。