ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

「じゃあ、千紗。アイスが溶けないうちに食べよう」

 進藤さんの不意打ちに驚き、持ちかけたスプーンを再びぽろりとお皿の上に落としてしまった。

 初めて名前を呼ばれた。それだけで胸が高鳴る。

「そっ、そうですね!」

 温かいワッフルの上で、白くて丸いバニラアイスがゆるゆるになってきている。

 まるで、進藤先生の甘い言葉に溶かされる私のように。


 というわけで、土日もデートをした私たち。

「本当に買ってもらっちゃった……」

 胸に光るのは、シンプルな細いゴールドチェーンと丸くカットされたダイヤモンドトップのネックレス。

 人生初の高級宝石店で、いきなり本物のダイヤをプレゼントされた私は、完全にテンパってしまった。

 進藤さんは「よく似合う」と笑ってくれたけど、本当によかったのだろうか。

 お見合い前と比べれば、ドクターではない進藤さんをだんだんわかってきたような気がする。

 彼は優しくて、そして厳しい人だ。言いにくいこともズバッと言ってくれる。

「そろそろ行かなくちゃ」

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