ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

 心電図にわずかな異常が見られたため検査入院したが、循環器内科のベッドの空きがなく外科に入院したとのこと。

 痛みに敏感であり、採血や点滴に拒否ありともある。

 うん、困った人だ。助けてあげたいのはやまやまだけど、なにもさせてもらえない。

 仕方ない、家族が救急車呼んじゃったんだもんね。しっかり検査して帰りましょうよ。

「どうして個室がないんだよ。会議ができやしない。Wi―Fiもないし、最悪だよこんな病院」

 施設面を充実させ、患者ひとりひとりに専属看護師がつくようなホテル系の病院もあるけれど、うちはそうじゃない。

 急性期病院なので、施設面の充実より治療に重きを置いており、その必要がなくなったらすぐに退院か転院をしてもらうのだ。

「では、個室が空いたらすぐにお知らせしますね」

 患者さんは、自分の体が思い通りにならないことにイライラしたり、不安を感じたりするから、看護師にキツイ言葉を吐いてくる。

 横柄な人ほど、実は臆病なのではと私は思っている。

「頼むよ……あ、いたたた」

「大丈夫ですか? どの辺りですか?」

 急に胸を押さえて呻く大村さんに手を伸ばすが、荒々しく振り払われてしまった。
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