ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
日勤の終わり頃、大村さんのオペ終了の一報が病棟に入ってきた。
やはり急性大動脈解離だったようで、早くオペができたおかげで、一命をとりとめた。
大村さんはオペ後、ICUに移った。容態が落ち着いたら一般病棟に戻るという。
ICUに大村さんの荷物を運んで今日の仕事は終わり。病棟を出たら、大きなため息が零れ出た。
大村さんが助かってよかった。そのひと言に尽きる。
誰にも責められなかったけど、進藤先生がかけてくれたひと言がなかったら、私は後悔から抜け出せなかっただろう。
それにしても、あのときの進藤先生はかっこよかったなあ。大村さんが助かった今だから、そう思える。
更衣室に入ると、同じ時間に終わった看護師や事務員たちが一緒くたになって着替えていた。
私のロッカーの同じ並びに、見たことがある人がいた。
そうだ、昼間オペ室で会った福田看護師だ。
なんとなく「福田さんという人がオペに入ったみたい」と病棟で話したら、「福田さん、進藤先生のこと狙っているらしいよ」と不穏な噂を聞いた。
彼女は壁際、私は通路に近い方で離れていたけど、目が合ってしまったのでぺこりと頭を下げた。