ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました
髪、どうにかしないとな。この際、もう少し短く切っちゃおうかな。でも、結べた方が仕事の邪魔にならないかな。
いつもより速度を上げ、駅までの道を歩く。どうせならもう一駅分歩こうかと思ったけど、お腹が空きすぎて気持ち悪くなってきたのでやめた。
地下鉄に揺られながら、自分が嫌になる。
看護師という仕事柄、忍耐力も精神力もあると思っていたけど、実は自分に甘いというか、誘惑に弱いというか……とにかく、もう挫けそう。
ふらふらとアパートに着き、夜ご飯は玄米と納豆とトマトをひとつ切っただけのものを食べた。もちろん、デザートは我慢。
「ひもじい……」
じわっと涙が滲んだ。消化器外科の患者さんが絶食で苦しむ気持ちがよくわかった。
体がむくまないよう塩分は控えめ、つまり限りなく薄味にしてあるのも、ひもじさを助長する原因となっているのだろう。
「いや、負けちゃだめだ。さあ、半身浴しよう!」
アパートでドスドス音を立てるわけにはいかないので、半身浴を一時間した後ストレッチを念入りにした。
「睡眠不足も美容の敵。おやすみなさい」
スキンケアと歯磨きをし、ベッドに横になった。しかし。
眠れない。空腹が邪魔して、全然眠れない。