若き社長は婚約者の姉を溺愛する
「宮ノ入さんと会えて嬉しいです。そんな梨沙に会いたかったなんで、知りませんでしたぁ~。早く社長室に連れていってください」
背を向けていて、瑞生さんの顔は見えなかった。
今、声をかけられたらいいのに――そう思ったけど、エレベーターのドアは閉じ、声をかけるタイミングを失った。
梨沙が社長を急がせたのは、そのためだ。
泣きそうになったのを堪えた。
ここで、私が誰かを頼れば、きっとその誰かが被害を受ける。
継母の監視は、宮ノ入本社へ簡単に入ることができた。監視の人の黒いスーツは、どこかで見覚えがあったけど、それがどこだったか思い出せなかった。
監視する人を気にしながら、受付で清掃会社の名前を言って、パスカードを受け取る。
「一時的なパスカードになります。この臨時発行されたパスカードは、社長室および役員室のフロアへ立ち入りはできませんので、ご了承ください」
マスクと眼鏡のおかげか、私だとわからないようだ。
もちろん、継母が私に与えた服も運よく変装になっていて、誰も私に気づかない。
「宮ノ入本社担当の真嶋です! わからないことがあれば、聞いてくださいね」
背を向けていて、瑞生さんの顔は見えなかった。
今、声をかけられたらいいのに――そう思ったけど、エレベーターのドアは閉じ、声をかけるタイミングを失った。
梨沙が社長を急がせたのは、そのためだ。
泣きそうになったのを堪えた。
ここで、私が誰かを頼れば、きっとその誰かが被害を受ける。
継母の監視は、宮ノ入本社へ簡単に入ることができた。監視の人の黒いスーツは、どこかで見覚えがあったけど、それがどこだったか思い出せなかった。
監視する人を気にしながら、受付で清掃会社の名前を言って、パスカードを受け取る。
「一時的なパスカードになります。この臨時発行されたパスカードは、社長室および役員室のフロアへ立ち入りはできませんので、ご了承ください」
マスクと眼鏡のおかげか、私だとわからないようだ。
もちろん、継母が私に与えた服も運よく変装になっていて、誰も私に気づかない。
「宮ノ入本社担当の真嶋です! わからないことがあれば、聞いてくださいね」