若き社長は婚約者の姉を溺愛する
「興味が出た。二人で話してみたい」
「私と話したい……? それって……」
「婚約の話をもう一度考えてもいいと思っている。確かにもっとよく考えるべきだった」
「そうでしょ? 美桜が相手なんてあり得ないもの」
マンションのキーに唇を寄せ、梨沙は毒の含む笑みを見せた。
「鍵は返さないわよ? 今後、必要になるかもしれないし」
「そうだな。持っているといい」
「わかったわ。それじゃあ、月曜日にね? 約束よ?」
「ああ」
俺の返事に舞い上がり、大喜びして帰った。
宮ノ入の親戚たちは、俺の視線を受けて蜘蛛の子を散らすように、慌ててエントランスから出ていった。
――これで二日。時間を得た。
「二日あれば十分だ。直真。沖重を買収する準備は整っているな?」
「もちろんです」
「居場所が分かり次第、沖重を叩く」
ずっとそうするつもりで、準備を進めてきたことを沖重側は知らない。
支援などするわけない。
――すべて食らうのが、宮ノ入。
なにもかも失ってから、思い知れ、
俺から一瞬でも美桜を奪い、彼女を苦しめたことを後悔させてやる。
間違いなく、俺は『宮ノ入』だった。
「私と話したい……? それって……」
「婚約の話をもう一度考えてもいいと思っている。確かにもっとよく考えるべきだった」
「そうでしょ? 美桜が相手なんてあり得ないもの」
マンションのキーに唇を寄せ、梨沙は毒の含む笑みを見せた。
「鍵は返さないわよ? 今後、必要になるかもしれないし」
「そうだな。持っているといい」
「わかったわ。それじゃあ、月曜日にね? 約束よ?」
「ああ」
俺の返事に舞い上がり、大喜びして帰った。
宮ノ入の親戚たちは、俺の視線を受けて蜘蛛の子を散らすように、慌ててエントランスから出ていった。
――これで二日。時間を得た。
「二日あれば十分だ。直真。沖重を買収する準備は整っているな?」
「もちろんです」
「居場所が分かり次第、沖重を叩く」
ずっとそうするつもりで、準備を進めてきたことを沖重側は知らない。
支援などするわけない。
――すべて食らうのが、宮ノ入。
なにもかも失ってから、思い知れ、
俺から一瞬でも美桜を奪い、彼女を苦しめたことを後悔させてやる。
間違いなく、俺は『宮ノ入』だった。