若き社長は婚約者の姉を溺愛する
そこで声をかけられ、なにかの縁だと思って、宮ノ入グループを受けたのが、入社のきっかけだ。
だから、二人は私が扇田工業で働いていると思っている。
その時もさんざん、沖重よりも小さい会社だと笑って、大喜びしていた。
二人はそれで油断して、私の実際の就職先を確認しないまま、今に至る。
「向こうの勘違いかしら。他の家のお嬢さんと間違えたのかもしれないわ」
「それでもいいの! これはチャンスだもん。宮ノ入グループの社長夫人なんて、夢みたーい!」
まだ結婚も決まってないうちから、すでに梨沙の気持ちは社長夫人。
梨沙は自信があるようで、ずっと機嫌がいい。
「梨沙。お父様も宮ノ入さんとの結婚は賛成よ。宮ノ入グループの資金力は魅力的だとおっしゃっていたわ」
最近、沖重グループの経営はうまくいっていない。
父が継母に頭があがらないのも、継母の実家の銀行に助けられているから。
父は無理にでもこの話は進めていくはずだ。
「お父様がお食事に、宮ノ入さんを誘ったって聞いたわ。新しい洋服とバッグが欲しいんだけど~」
「いいわよ。それじゃあ、今から買いに行きましょ」
――お食事会。
だから、二人は私が扇田工業で働いていると思っている。
その時もさんざん、沖重よりも小さい会社だと笑って、大喜びしていた。
二人はそれで油断して、私の実際の就職先を確認しないまま、今に至る。
「向こうの勘違いかしら。他の家のお嬢さんと間違えたのかもしれないわ」
「それでもいいの! これはチャンスだもん。宮ノ入グループの社長夫人なんて、夢みたーい!」
まだ結婚も決まってないうちから、すでに梨沙の気持ちは社長夫人。
梨沙は自信があるようで、ずっと機嫌がいい。
「梨沙。お父様も宮ノ入さんとの結婚は賛成よ。宮ノ入グループの資金力は魅力的だとおっしゃっていたわ」
最近、沖重グループの経営はうまくいっていない。
父が継母に頭があがらないのも、継母の実家の銀行に助けられているから。
父は無理にでもこの話は進めていくはずだ。
「お父様がお食事に、宮ノ入さんを誘ったって聞いたわ。新しい洋服とバッグが欲しいんだけど~」
「いいわよ。それじゃあ、今から買いに行きましょ」
――お食事会。