若き社長は婚約者の姉を溺愛する
「今のはなに? 目の錯覚かも……?」
私の目の錯覚じゃない証拠に、玄関の窓ガラスから、ばっちりベンツが見える。
玄関のドアをもう一度開けると、私を見て、不機嫌そうな顔をしている。
「おい、挨拶もなくドアを閉めるなよ」
呆れた様子でこっちを見てくる。
「な、な、なにしにきたんですか?」
借金の取り立てより、威圧感がある。
まだヤクザのほうが可愛いのではと思うくらいだ。
次にドアを閉じたら、喉元に食らいつかれるかもしれないと思って、ドアを数センチ開け、顔半分で向こう側を見る。
「おにぎりのお礼を持ってきた」
「お礼? お礼なんて結構です。あれはっ……」
私の声が聞こえたのか、継母の声がした。
「美桜さん、なにかの勧誘なの? うまくことわってちょうだいよ!」
出かける準備をしている二人は、まだ玄関にまで出てこないけど、いつ出てくるかわからない。
私は息を吸い込み、小声で宮ノ入社長に言った。
「すみません。裏に回ってもらってもよろしいでしょうか?」
こんなこと社長にお願いするのも、おかしな話だけど、継母に見つかると面倒なことになる。
私の目の錯覚じゃない証拠に、玄関の窓ガラスから、ばっちりベンツが見える。
玄関のドアをもう一度開けると、私を見て、不機嫌そうな顔をしている。
「おい、挨拶もなくドアを閉めるなよ」
呆れた様子でこっちを見てくる。
「な、な、なにしにきたんですか?」
借金の取り立てより、威圧感がある。
まだヤクザのほうが可愛いのではと思うくらいだ。
次にドアを閉じたら、喉元に食らいつかれるかもしれないと思って、ドアを数センチ開け、顔半分で向こう側を見る。
「おにぎりのお礼を持ってきた」
「お礼? お礼なんて結構です。あれはっ……」
私の声が聞こえたのか、継母の声がした。
「美桜さん、なにかの勧誘なの? うまくことわってちょうだいよ!」
出かける準備をしている二人は、まだ玄関にまで出てこないけど、いつ出てくるかわからない。
私は息を吸い込み、小声で宮ノ入社長に言った。
「すみません。裏に回ってもらってもよろしいでしょうか?」
こんなこと社長にお願いするのも、おかしな話だけど、継母に見つかると面倒なことになる。