若き社長は婚約者の姉を溺愛する
たぶん、私は彼が目を覚ますまで、一ページも進まないだろう。
そう思っていたら、お昼休みが終わる十分前。
まるで、体内に時計があるんですかというタイミングで、社長は目を覚ました。
「忘れてた」
「えっ!? 大事な仕事を忘れていたんですか?」
「いや、渡すものがあった」
スーツのポケットから取り出したのは、綺麗に包装された箱。私への贈り物らしく、私の手の上に、箱を置く。
「そんな……。おにぎり一つに、お礼なんてしなくていいですよ」
「土曜日のものとセットだ」
「本当ですか?」
「本当だ」
箱のマークは土曜日と同じシャネルもの。開けると、そこには可愛いピンク色の香水が入っている。
丸い瓶にもシャネルのマーク入り。
「つけてやるよ」
「えっ!?」
瓶を箱から取り出し、社長は自分の手に香水をつけた。
その手は、私のうなじをなぞり、香りを移す。
「ひぁっ……!? なにをするんですかっ!」
冷たい指の感触がこそばゆい。指を離した後、首に息が触れるくらいの近さで、香りを確認すると、髪を手に取り、キスをする。
誘惑されている気がして、慌てて目を逸らした。
そう思っていたら、お昼休みが終わる十分前。
まるで、体内に時計があるんですかというタイミングで、社長は目を覚ました。
「忘れてた」
「えっ!? 大事な仕事を忘れていたんですか?」
「いや、渡すものがあった」
スーツのポケットから取り出したのは、綺麗に包装された箱。私への贈り物らしく、私の手の上に、箱を置く。
「そんな……。おにぎり一つに、お礼なんてしなくていいですよ」
「土曜日のものとセットだ」
「本当ですか?」
「本当だ」
箱のマークは土曜日と同じシャネルもの。開けると、そこには可愛いピンク色の香水が入っている。
丸い瓶にもシャネルのマーク入り。
「つけてやるよ」
「えっ!?」
瓶を箱から取り出し、社長は自分の手に香水をつけた。
その手は、私のうなじをなぞり、香りを移す。
「ひぁっ……!? なにをするんですかっ!」
冷たい指の感触がこそばゆい。指を離した後、首に息が触れるくらいの近さで、香りを確認すると、髪を手に取り、キスをする。
誘惑されている気がして、慌てて目を逸らした。