若き社長は婚約者の姉を溺愛する
仕事帰りの一臣さんはスーツ姿で、夜の挨拶代わりに、父の居場所を聞く。
沖重の経営状況を聞くために、頻繁に沖重の家へ訪れているのだ。
「こんばんは。美桜ちゃん」
「こんばんは……」
人当たりのいい笑顔を浮かべる一臣さんだけど、私は苦手だった。
一臣さんは色白で、眼鏡をかけた神経質そうな人。
穏やかな口調で話し、声を荒げたところを見たことがない。
でも、私は一臣さんが来るたび、継母や梨沙から嫌がらせをされることが多く、あまりいい印象を持っていなかった。
「これ、美桜ちゃんにお土産。よかったら食べて」
「ありがとうございます」
一臣さんが持ってきたのは、焼き菓子の詰め合わせだった。
わざわざそれを梨沙の前に出し、私が文句を言われるのを待っているように思える。
梨沙は当然、一臣さんから、私がお菓子の箱を受け取ったのを見て、面白くなかったようで近寄ってきた。
「一臣さん。それ、なあに?」
「貰い物のお菓子だよ。美桜ちゃんにあげようと思って持ってきたんだ。梨沙はここの焼き菓子は好きじゃないって言っていただろう?」
沖重の経営状況を聞くために、頻繁に沖重の家へ訪れているのだ。
「こんばんは。美桜ちゃん」
「こんばんは……」
人当たりのいい笑顔を浮かべる一臣さんだけど、私は苦手だった。
一臣さんは色白で、眼鏡をかけた神経質そうな人。
穏やかな口調で話し、声を荒げたところを見たことがない。
でも、私は一臣さんが来るたび、継母や梨沙から嫌がらせをされることが多く、あまりいい印象を持っていなかった。
「これ、美桜ちゃんにお土産。よかったら食べて」
「ありがとうございます」
一臣さんが持ってきたのは、焼き菓子の詰め合わせだった。
わざわざそれを梨沙の前に出し、私が文句を言われるのを待っているように思える。
梨沙は当然、一臣さんから、私がお菓子の箱を受け取ったのを見て、面白くなかったようで近寄ってきた。
「一臣さん。それ、なあに?」
「貰い物のお菓子だよ。美桜ちゃんにあげようと思って持ってきたんだ。梨沙はここの焼き菓子は好きじゃないって言っていただろう?」