若き社長は婚約者の姉を溺愛する
突然の婚約
新しい眼鏡を今日一日、何度も確認してしまった。
嬉しい気持ちというのは、きっとこんなふわふわした気持ちをいうのだと思う。
細いフレームに傷のないレンズ。新しい眼鏡は私の心をふんわり軽くした。
「あっ! 沖重先輩、新しい眼鏡を買ったんですね」
「そ、そうなの。落としてしまって、ヒビが入ったから……」
「私も眼鏡を買ったんですよ」
木村さんが仕事中、眼鏡をかけていないのと、得意げな顔が気になって、他人と関わらないようにしていたはずが、つい聞いてしまった。
「木村さんって、視力悪いの?」
「いいえ。パソコン画面を見る時に使うブルーライトカット眼鏡です。やっぱり、長時間の戦いですからね。目に優しくないと」
戦い――いったいなにと戦っているのだろう。
帰宅してから、仕事関係の勉強をしているのかもしれない。
「先輩が残業なんて珍しいですね」
「おおげさよ。十五分くらいしか過ぎてないわ」
机の上を片付ける。
そんな木村さんも残業をするほうではなく、すでに帰り支度を済ませていた。
十五分遅れだったけど、私は焦っていなかった。
嬉しい気持ちというのは、きっとこんなふわふわした気持ちをいうのだと思う。
細いフレームに傷のないレンズ。新しい眼鏡は私の心をふんわり軽くした。
「あっ! 沖重先輩、新しい眼鏡を買ったんですね」
「そ、そうなの。落としてしまって、ヒビが入ったから……」
「私も眼鏡を買ったんですよ」
木村さんが仕事中、眼鏡をかけていないのと、得意げな顔が気になって、他人と関わらないようにしていたはずが、つい聞いてしまった。
「木村さんって、視力悪いの?」
「いいえ。パソコン画面を見る時に使うブルーライトカット眼鏡です。やっぱり、長時間の戦いですからね。目に優しくないと」
戦い――いったいなにと戦っているのだろう。
帰宅してから、仕事関係の勉強をしているのかもしれない。
「先輩が残業なんて珍しいですね」
「おおげさよ。十五分くらいしか過ぎてないわ」
机の上を片付ける。
そんな木村さんも残業をするほうではなく、すでに帰り支度を済ませていた。
十五分遅れだったけど、私は焦っていなかった。