若き社長は婚約者の姉を溺愛する
社長を避けたつもりが、ずっと婚約の話題が続き、嫌でも耳に入ってくる。
今日はきっとどこに行っても同じだろうから、諦めてお弁当を開いた。
会うつもりはなかったのに、おにぎりが二つあった。
まったく気づかずに作ってしまい、水筒のお茶も自分一人には多すぎた。
「明日からは気を付けないとね……」
午後から、すぐに総務部へ戻らず、消耗品が置いてある倉庫で在庫をチェックし、それから席へ戻った。
木村さんには、ことづけてあったから、なにかあれば、答えてくれるようお願いしてある。
手元の在庫数を眺めつつ、席へ戻ると、木村さんが私に声をかける。
「さっき、社長秘書の八木沢さんから内線がありましたよ。頼みたい仕事があるので、秘書室まで来てほしいそうです」
「木村さん、代わりに行ってもらってもいい? ちょっと貧血気味で……。その代わり、木村さんがやる予定のコピーをしておくわ」
「えっ! いいですけど……。体は大丈夫ですか?」
「ええ」
親切な木村さんを騙すみたいで、申し訳なく感じた。
木村さんが行ってから、しばらくして八木沢《やぎさわ》さんが直接やってきた。
今日はきっとどこに行っても同じだろうから、諦めてお弁当を開いた。
会うつもりはなかったのに、おにぎりが二つあった。
まったく気づかずに作ってしまい、水筒のお茶も自分一人には多すぎた。
「明日からは気を付けないとね……」
午後から、すぐに総務部へ戻らず、消耗品が置いてある倉庫で在庫をチェックし、それから席へ戻った。
木村さんには、ことづけてあったから、なにかあれば、答えてくれるようお願いしてある。
手元の在庫数を眺めつつ、席へ戻ると、木村さんが私に声をかける。
「さっき、社長秘書の八木沢さんから内線がありましたよ。頼みたい仕事があるので、秘書室まで来てほしいそうです」
「木村さん、代わりに行ってもらってもいい? ちょっと貧血気味で……。その代わり、木村さんがやる予定のコピーをしておくわ」
「えっ! いいですけど……。体は大丈夫ですか?」
「ええ」
親切な木村さんを騙すみたいで、申し訳なく感じた。
木村さんが行ってから、しばらくして八木沢《やぎさわ》さんが直接やってきた。