若き社長は婚約者の姉を溺愛する
その声に、梨沙の高い声が加わる。
「またお見合い話? 困っちゃう~。美桜にもわけてあげたいわ」
梨沙はお相手の写真を手に、私がいるキッチンまでやってきた。
「ねぇ。美桜、うらやましいでしょ? この人はぁ、ご両親が会社を経営していて、自宅にプールまであるんですってー」
「そうですか。それは、すごい相手ですね」
無難な返事を選び、グラタン皿を並べた。
夕食が希望通りのグラタンだとわかった梨沙は、さらにご機嫌になって、キッチンから出ていった。
無視すると、狂ったように暴れだし、嫌がらせをするので、適当に相手をしなくてはならない。
「お母様、聞いて~。社長令嬢なのに、コピーしろって命令されたのよ」
「まあ! 梨沙にそんなことを命令する社員がいるの? お父様に言いつけて、注意してもらいましょ!」
梨沙を注意するどころか、頼んだ社員が悪いというような口ぶりだ。
入社したばかりの梨沙がやれることといえば、限られているのだから、なぜそんなに怒るのか、私にはわからなかった。
たったひとつの仕事を渡されただけで、文句の山を言っているのが、キッチンにまで聞こえてくる。
「またお見合い話? 困っちゃう~。美桜にもわけてあげたいわ」
梨沙はお相手の写真を手に、私がいるキッチンまでやってきた。
「ねぇ。美桜、うらやましいでしょ? この人はぁ、ご両親が会社を経営していて、自宅にプールまであるんですってー」
「そうですか。それは、すごい相手ですね」
無難な返事を選び、グラタン皿を並べた。
夕食が希望通りのグラタンだとわかった梨沙は、さらにご機嫌になって、キッチンから出ていった。
無視すると、狂ったように暴れだし、嫌がらせをするので、適当に相手をしなくてはならない。
「お母様、聞いて~。社長令嬢なのに、コピーしろって命令されたのよ」
「まあ! 梨沙にそんなことを命令する社員がいるの? お父様に言いつけて、注意してもらいましょ!」
梨沙を注意するどころか、頼んだ社員が悪いというような口ぶりだ。
入社したばかりの梨沙がやれることといえば、限られているのだから、なぜそんなに怒るのか、私にはわからなかった。
たったひとつの仕事を渡されただけで、文句の山を言っているのが、キッチンにまで聞こえてくる。