怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
そんなことをひたすらぐるぐると考え込んでいると、「冗談だよ」と笑う声が聞こえた。
悠正さんが私の腰に回っている腕を離し、私から距離を取る。
「あの夜のこと覚えていないならもうそれでいい」
「でも、告白は?」
「それも冗談。ごめん。少しからかっただけ」
つまり私は悠正さんから告白をされていないということだろうか。
「そうだったんですね、よかった」
思わずホッと胸を撫で下ろす。
悠正さんのような素敵な男性が私なんかに告白をするはずがない。なにせ彼に好かれる要素が私にはまったくないから。
それに、仮に告白されていたとしても覚えていないのはやはり失礼だから、冗談でよかったと心から思う。
「ひとつだけ確認してもいい?」
ふと悠正さんの声が聞こえて私は視線を彼に向けた。悠正さんは夜景を見つめたまま静かに続きを口にする。
「優月は俺のことどう思ってる?」
「えっ」
唐突な質問に思わずきょとんとしてしまい言葉に詰まる。悠正さんが夜景から私に視線をゆっくりと戻した。
「きっかけはどうあれ結婚したんだから俺は優月のことを大切にしたいと思ってる。この先もずっと一緒にいたい」
「ずっと……」