怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「お互いにメリットがあるからなんて無茶苦茶な結婚を提案したのはわかってる。でも、結婚したからには優月とちゃんと本物の夫婦になりたいんだ」
「悠正さん……」
私たちはこのまま書類上の夫婦を続けていくものだと思っていた。ついさっきまでは悠正さん側のメリットがなくなれば離婚するのかもとすら考えていたのに。
まさか悠正さんがそこまでしっかりと私とのことを考えてくれているとは思いもしなかった。
――俺も優月のこと好きになりたいし。
悠正さんに好きになってもらえたらたぶんそれはとても幸せなことなのだと思う。なにせ彼は私にとって憧れの弁護士なのだ。そんな人に好きになってもらえるなんてうれしいに決まっている。
「どうかな。俺の提案に賛成してくれる?」
改めて問われ、私は少し考えた末に「はい」とうなずいた。
これからもこの結婚が続いて、本物の夫婦になれるのだとしたら素敵なことだと思うし、悠正さんからそんな前向きな提案をしてもらえたことがうれしい。
「それじゃあ唇にキスしていいよな」
「え?」
唐突な悠正さんの言葉についきょとんとしてしまう。
「キスって、ここでですか?」
「そう。ここで」
そんないきなり……!