怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「夫婦ならこうして愛を伝え合うのかなと思って」
……なるほど。それで好きって言われたんだ。
どうやら悠正さんは本当に私と本物の夫婦になろうとしているらしい。その気持ちはうれしいと思う。
悠正さんは私を好きになろうとしてくれているんだ。
でも、なぜか心に引っ掛かるものを感じた――。
『無理にでも忘れるためにその子と結婚したのか』
事務所の前で鏑木さんが悠正さんに向けて放った言葉を思い出してしまう。
悠正さんが私に結婚を持ち掛けたのは病気の父親が安心して治療に専念できるため。でも、本当にそうなのだろうか。
鏑木さんの話が本当なら悠正さんには忘れられない女性がいて、その人のことを忘れるために私と結婚をしたのでは……?
なんとなくそう感じた瞬間、心が一気にざわつき始める。
私のことを好きになりたいと言ったのも、その女性への未練を断ち切るため。悠正さんは私を好きだと無理やり自分に言い聞かせようとしているのかもしれない。