怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
『小野坂さん、今日はありがとう。俺が戻るまでの間、あの女性の相手をずっとしてくれていたそうじゃないか』
相談が終わり、離婚に向けての光が見えてきた女性が安心したように表情を和らげて帰ったあと、俺は事務員フロアのデスクで仕事をしている優月に声を掛けた。
ちょうど隣の席の事務員が不在だったので、そこのイスに腰を下ろす。
『彼女、小野坂さんに感謝していたよ。泣いて取り乱してしまったのに、ずっと優しく声を掛けてくれてありがとうございましたと言っていた』
『いえ、私なんてなにも』
両手を顔の前でぶんぶんと振りながら、優月が謙虚に否定する。俺はデスクに頬杖をつき、そんな彼女を見つめながら自然と表情が緩んでいた。
『ああいうときは話を聞いて寄り添ってもらえるだけでもすごく安心するんだ。DV問題はデリケートだから。正直、男の俺よりも同性の小野坂さんの方が一緒にいて彼女も安心できたんじゃないかな』
『そうでしょうか?』