怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
そう言って悠正さんが自身の端末を操作し、しばらくすると私の端末に住所と電話番号が送られてきた。私はこれを瑠奈に伝えればいいらしい。
「ありがとうございます、悠正さん」
「いや、俺は知り合いの弁護士を紹介しただけ……あ、そうだ。まだ彼女の名前を教えてなかったな」
「そうですね」
律花さんという名前だけは悠正さんとの電話のやり取りを聞いていてわかったものの、名字はまだ教えてもらっていない。
「濱里法律事務所っていうところの弁護士で、名前は雪平律花」
「雪平さんですね。悠正さんとはどういった関係なんですか? 随分と親しそうにお話をされていましたけど」
「大学時代の友人なんだ」
「大学時代の……」
すぐに頭に浮かんだのは鏑木さんのこと。彼も悠正さんと同じ大学だったと言っていた。
でも、どうやら悠正さんは鏑木さんよりも雪平さんとの方が親しそうだ。先ほどの電話での話し方や、雪平さんのことはきっぱりと友人だと言ったことからしても、鏑木さんとの対応に違いを感じる。