怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
小学校からの友人であり、家同士も近所の瑠奈は、私の母とも顔見知りの関係だ。
娘の交友関係にまでうるさく口出しする母が私の友達として最も信頼しているのが瑠奈で、今日も彼女とランチに出掛けると伝えると、『瑠奈ちゃんとなら安心ね』と快く送り出してくれた。
私は、瑠奈の先ほどの問いに答えるため、いったん食事の手を止める。
「それがそうでもなかったんだよね。最初はすごく険悪ムードだったけど、最終的には隠岐先生を私の彼氏だと認めてくれたの。お見合いもしなくていいって」
「本当に⁉ おばさんのことだからなにがなんでも優月にお見合いをさせると思ったけど、交際のこと認めてくれたんだ」
「うん。でも、実際は付き合ってないから、うまくお母さんを騙せたというか……」
話しながら、昨日のやり取りをふと思い出す。
『そんなに見合いが嫌なら、俺が断るのを手伝ってあげるから』
その言葉通り隠岐先生の力を借りて、私はお見合いを回避することに成功した。