怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
もしかして暑くて全部脱いだ?
確かに今は九月で日中はまだまだ暑いし、夜も寝苦しい日はある。とはいえ、まさか寝ながら服と下着を脱いでしまうなんてことはありえない。
とにかく、いつまでも素っ裸でいるわけにはいかないのでなにか身に付けないと。
そう思い、ベッドの上で体を動かしたそのとき。右手がなにか生暖かいものに触れた気がした。
え?と、恐る恐る視線を流すと、隣に男の人の姿を見つけてギョッとする。どうやらこのベッドで眠っていたのは私だけではないようだ。
動揺が一気に増していく。
男の人はうつ伏せの状態で、ふかふかの枕に顔をうずめるようにして眠っていた。息ができているのか心配になったけれど、かろうじて鼻と口の部分が出ているので大丈夫だろう。耳を澄ますと微かな寝息も聞こえてくる。
それにしても、この男性は誰?
うつ伏せで寝ているため顔がよく見えない。覗き込もうとしたところで彼が私と同じく体になにも身に着けていないとわかり、思わずピタリと固まる。
毛布から覗く、程よく筋肉のついた男性的な背中と腕に、見てはいけないものを見てしまった気がして私は慌てて視線を逸らした。