怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「優月、隠岐先生からなにか見返りを求められたりして」
「見返り?」
「たとえば、このまま体だけの関係を続けようとか言われたり。ほら、もう一回しちゃったんだから何回しても同じだろ、みたいな」
「えっ……」
それを聞いた私は一瞬動揺したものの、すぐにぶんぶんと首を大きく横に振り、先ほどの瑠奈の言葉を否定した。
「それはありえない。隠岐先生はそんな人じゃない」
「そう?」
「そう。絶対にそう。隠岐先生はとってもすごい弁護士なんだよ。困っている人を助けてくれるヒーローみたいな人なの。それなのに、体だけの関係とかそんなことを求めるようなことしたりしない。隠岐先生はそんな人じゃない。昨日だってきっと私が気の毒に見えたから放っておけなくて、助けてくれたんだよ」
「まぁまぁ落ち着いてよ、優月。ごめんって」
気が付くとイスから立ち上がり熱弁していた私を瑠奈がなだめる。つい熱くなってしまった自分に反省しつつ、私は静かにイスに腰を下ろした。
「もしかして、優月。隠岐先生のことが好きなの?」
「へ?」
唐突な瑠奈の言葉に思わずきょとんとしてしまう。