怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「そうね。もう完全に黒、真っ黒だったわよ。あいつが呑気にシャワーを浴びている間にこっそりとスマホを確認して証拠も手に入れた」
「どうやったの? だって前に話したときはロックがかかっているから無理だって言ってたのに」
「私はそんなことでは諦めないのよ」
瑠奈は怒りに震える声で静かに告げる。
「あいつのスマホはパターンロックなの。だからあいつがスマホのロックを解除するときの手元の動きを何度か見て予想つけた。そしたら見事に大当たり。画面ロック解除よ」
「瑠奈、すごい」
「ここまできたらもう執念よ。なんとかしてあいつの不倫の証拠を掴みたかった。なにもないならそれが一番よかったけど、女との生々しいメッセージのやり取りを見つけちゃって。しばらく頭の中真っ白……」
背中をイスの背もたれに預けた瑠奈が重たいため息を吐き出した。
先月の瑠奈とのランチのとき、彼女の旦那である拓海さんが職場の後輩女性と不倫関係にあるかもしれないと相談された。あれから一カ月が経ったけれど、どうやら不倫疑惑は確信へと変わってしまったらしい。