怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
瑠奈は二十歳の頃に五歳年上の拓海さんと授かり婚をして、今は四歳と二歳のふたりの男の子の母親だ。
ちなみに今日、息子たちは瑠奈の両親に預けているらしく、拓海さんは‟同僚とゴルフに行く„と言って、朝早くからうきうきとした様子で出掛けたらしい。おそらく不倫相手と密会しているのだろうと瑠奈は言っていた。
「ああ、もうっ! 本当に腹立つあの男。もう顔も見たくない。あんなやつ、私の人生には必要ない。こうなったら慰謝料がっぽりともらって離婚してやるんだから」
「瑠奈、ちょっと落ち着いて」
そうなだめてみるものの落ち着いてなんていられないと思う。
未婚の私にはたぶん今の瑠奈の気持ちを完璧には理解できない。それでも瑠奈が相当参っているということはわかる。
それに、離婚と口走ってはいるが幼い子供ふたりを抱える専業主婦の瑠奈にとってそれは簡単なことではないはずだ。
なにか私にも力になれることがあればいいのだけれど、今のところ私にできることといえばこうして瑠奈のぐちを聞いてあげることだけ。
そこからの私たちの会話は瑠奈の話題が中心となり、たっぷりと話し込んでからカフェを後にした。