怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
とりあえず落ち着こう。
いったいなにがどうなってこの状況になっているのかをまずは思い出さないと……。
確か昨日は業務終了後に職場の慰労会に参加した。
そのあと、誰かと一緒にバーのようなお洒落な雰囲気の場所でお酒を飲んだ覚えがある。
先ほどから頭がズキズキと痛むのは、飲み過ぎてしまったからだろうか。二日酔いとまではいかないけれど、なんとなく気分も優れない。
それに、昨夜の記憶がところどころ曖昧なのもたぶんお酒のせいだ。いったい誰と一緒にバーへ行ったのかを思い出すことができない。でも、スーツを着ていた気がするから相手は男性だと思う。
ふと視線が隣で眠る人物へと移動する。
もしかして、この人と一緒にお酒を飲んだのだろうか……。
うつ伏せで眠る男性の後頭部あたりをじっと見つめていると、彼の体が微かに動いた気がした。
かさかさと毛布とシーツのこすれる音がして、男性が大きく寝返りを打つ。目を覚ましたのかと思ったけれどその目はしっかりと閉じられたままで、どうやらまだ眠っているらしい。
けれど、体勢が仰向けに変わったことで、ようやく男性の顔をはっきりと見ることができた。
そこには目を閉じていてもはっきりと‟イケメン„だとわかる綺麗な顔立ちの男性が眠っていて……。